2012年3月27日火曜日

染料について・・・asian-textile.com 〜「アジアの織物 PANDAN TREE」がお送りする東南アジアの織物についての情報サイト【アジアン・テキスタイル・ドットコム】 〜


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染料について

19世紀末以降に急速に西洋において化学染料(合成染料)が普及した影響で、今日ではアジアにおいても化学染料を使用した地域が大部分となりましたが、その一方で、いにしえより受け継いだ天然染料による昔ながらの染織文化が色濃く残る地域も存在します。
使用されるものは、植物染料では藍・茜・鬱金・黒檀・さとうきび・タマリンド・マンゴスチン・マンゴー・ビンロウジ・チョウジなど私達にも馴染みや聞き覚えのある植物の他、耳慣れない植物もあり、織物の宝庫であるインドネシアでは数百種類もの植物染料が使用されていたとも言われております。
また、動物染料としてはラック(臙脂虫)などがあります。
こちらのコーナーでは、そんな数ある染料の中でも当店の主なラインナップであるインドネシアの織物に最もよく使用される藍、茜、鬱金をメインにご紹介致します。

藍は青の染料の代表的なもので、藍染めは6000年以上の歴史を持つと伝えられます。
藍にはタデアイ(蓼藍)、インド藍(木藍)、琉球藍、ウォード(大青)などがありますが、インドネシアなど東南アジアで使われる藍の多くがインド藍となります。

因みに、インドネシアでは藍をニラ(nila)と言いますが、スンバ島ではウォラ(wora)、サブ島ではニタ(nita)、グリンシンで知られるトゥガナン辺りなどではタウン(ta'um)と、場所によって呼び方も様々です。


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藍はヌサテンガラでは自生の他、織物づくりが盛んな村などでは家や村の片隅でインド藍が栽培されており、約4ヶ月程で育ちます。
大規模な畑で藍を栽培するといった感じではなく、織り人が使う分の藍を自身の家の庭などで育てているといった喉かな風景が多く見られました。

家の敷地内のこじんまりとした染め場で、こうした小さな藍甕に石灰(地域によっては灰汁やコヒルギなどの樹木)を加えて糸を浸して染めていきます。

染めの回数は織り人のこだわりによりそれぞれですが、スンバ島のイカットの場合では、淡く染めたい場合は2回、濃く染めたい場合には5回程染めを繰り返すそうです。また、こうした藍の濃淡を生かして細かな文様を織り込む高度な技術もあります。

染め場は家の横の小屋であったり、青空の下であったり実に様々。
こちらの村では染め場の中まで入れさせてもらい、間近で作業風景を拝見させて頂きましたが、現在でも村によっては藍の配合はその村の女性の門外不出の秘伝であり、染め場へは観光客や(家族も含めた)男性は、眺めることはできても立ち入り禁止となっている所もあります。

しばらく藍を使用しない場合は、甕に沈殿した泥藍を乾燥させて保存しておきます。

因みに、スンバ島では青の色は「空」「向上」を意味し、また、藍染めの腰衣(ヒンギーカウル/hinggi kawuru)は平民階級の着衣として日常的に用いられておりました。
また、茜と組み合わせて黒を作り出したり、鬱金と組み合わせて緑を作り出したり・・・と、実に幅広く使用されます。


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もちろん日本でも藍は身近な染料で、虫除け、毒蛇除けに効果があるとされ、野良着などの仕事着に使用されてきました。
人類にとって最も身近な天然染料とも言える藍。
清々しさから深みまで様々に演出してくれる藍の魅力は、千変万化な楽しみを私たちに与えてくれます。


赤を生み出す植物染料としては蘇芳も使用されますが、インドネシアでは主にアカネ科のヤエヤマアオキが使用されます。
インドネシアのモルッカ諸島が原産地であるこのヤエヤマアオキは、近年ではノニ(ハワイ語)として健康ブームによってよく知られるようになりました。

こちらがヤエヤマアオキの実。
ノニジュースの原料であり、インドネシアでは民間伝承薬のジャムウに使用されたりもします。

このヤエヤマアオキの樹皮や根を粉末にし、染液を作り始めます。

地域によっては、ヤエヤマアオキに蘇芳やキャンドルナッツの樹皮などを混ぜて赤の染料を鮮やかに作り出す場合もあります。

このヤエヤマアオキはインドネシアではメンクドゥ(mengkudu)と呼ばれますが、スンバ島ではコンブ(kombu)、サブ島ではコブ(kobu)、グリンシンで知られるトゥガナン辺りなどではスンティ(sunti)と、場所によって様々な呼び方がされます。

染色は一回だけではなく、気に入った色彩になるまで何度も何度も繰り返し行われます。

それぞれの人のこだわりにより、染め上がるまでの期間には数ヶ月〜数年と個人差があるそうです。


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藍によって染められた青の織物が身近な物であったのに対し、茜で染められた赤の織物は、高貴な人々にのみ身に纏うことが許された禁制色として尊ばれた地域も多くございます。

例えば、スンバ島では赤の色は「血」「勇気」を意味し、また、茜染めが使用された腰衣(ヒンギーコンブ/hinggi kombu)は貴族階級にのみ、また茜染めだけの腰衣は祈祷師が纏う特別な織物とされました。

また、バリ島トゥガナン村でつくられるグリンシンには神々が宿っていると信じられ、赤は創造神ブラフマーを表し、トゥガナン村以外のバリの人々は長い間、グリンシンの赤は人間の血で染められたものだと信じてきたそうです。


鬱金(うこん)

日本に暮らす私達にとっても身近な植物である鬱金(うこん)。
英語でターメリック、沖縄ではうっちんと呼ばれるショウガ科のこの植物は、カレーの香料や健康食品などとして広く用いられております。

鬱金(うこん)はインドネシアではクニッ(kunyit)またはクニル(kunir)と呼ばれております。
食材として市場でよく見かけるのはもちろん、織物の黄色の染料としても使用されております。

糸を染めて織り上げられる他、スンバ島でつくられる浮織り布パヒクンにおいては、鬱金(うこん)を直接そのまま文様に擦り込む方法がとられます。
また、バリ島トゥガナン村でつくられるグリンシンにおいては、黄色は破壊神シヴァを表すとされております。


 〜化学染料(合成染料)と天然染料への織り人のそれぞれの思い〜

今日では、様々な彩りで簡単に素早く色鮮やかに染め上げられるなどといった理由もあり、化学染料(合成染料)を使用した染織が世界的にも大部分となっております。


また、そうした理由の他にも、日常的にイカットなどをサロンとして着用している地域では、
「様々な色彩で自身の纏う衣服を彩りたい」
「色彩豊かなほうが粋だから」
という織り人の思い(女心)も伺ったことがあります。
量産されたマシンメイドの織物のように、化学染料を使用したほうが安価だから・・・という理由だけで化学染料が使用されているとは限らないようです。

また反面、上記のような昔ながらの天然染料だからこそ生み出される織物の味わいと共に、伝統を受け継ぐという心などから、天然染料の使用にこだわりを持った織り人もいらっしゃいます。

様々な島や村を巡って、その土地の自然や生活を見ながら、そして土地の気候の中で空気を吸いながら織りや染めの風景を拝見する度に、その両方の気持ちが深く心に染み渡り、どちらが正しい・・・といった風には簡単には線引き出来ないような気がします。

どうぞ、皆様も様々な用途に応じて、天然染料や化学染料の織物を使い分けて日常の暮らしに取り入れてお楽しみ下さい。

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