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航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L)によるタイ豪雨災害の観測結果について(3)
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、2011年9月24日から27日まで航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L : L-band - Polarimetric and interferometry - Synthetic Aperture Radar)によりタイ王国での豪雨災害の観測を実施しました。
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現在(2011年10月24日現在)、雨季であるタイ国では7月中旬からの継続した豪雨によって記録的な大洪水が発生し、合計で300人以上の死亡者が出ている他、多くの農地や工場等が冠水しています。また首都バンコクの浸水被害も進行しつつあり、タイ経済全体への影響も甚大なものとなりつつあります。
今回の観測では、タイ国北部・中部に位置するNakhon Sawan(ナコンサワン)県、Chainat(チャイナート)県、Sing Buri(シンブリ)県、Ayutthaya(アユタヤ)県におけるChao Phraya(チャオプラヤ)川沿いの被災地域と、Prachin Buri(プラーチーンブリー)県での被災地域を対象としました。
図1: 観測領域の位置図
枠内がそれぞれPi-SAR-Lの観測領域を示す
赤:9/24観測 青:9/26観測 緑:9/24及び9/27観測
図2 Pi-SAR-Lによる洪水画像(2011年9月24日、26日、27日)
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図2は、2011年9月24日に観測したChao Phraya(チャオプラヤ)川沿いのNakhon Sawan(ナコンサワン)県、ChaiNat(チャイナート)県およびSing Buri(シンブリ)県、Ayutthaya(アユタヤ)県の3つの観測地域の画像(@,A,B)、9月26日に観測したPrachin Buri(プラーチーンブリー)県の2つの観測地域の画像(C,D)、9月27日に観測したSing Buri(シンブリ)県の画像(E)合わせて6つを示したもので、Pi-SAR-Lの4つの偏波のうち、HH偏波を赤、HV偏波を緑、VV偏波を青に割り当てたRGBカラー合成画像で表しています。川沿いの地域が暗く見えており、広域に渡って冠水している事が分かります。
図3: Pi-SAR-Lによる9月24日観測のアユタヤ県中心部洪水画像
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図3は、9月24日観測のうちAyutthaya県周辺のデータについて示したものです。SARでは一般に、水面などの平坦な面は暗く写る傾向があります。よって、冠水した地域は建物がある場所と比較すると水面のために暗く写ります。この結果より、町の周辺にある農地が暗く写っている事から広範囲に渡って冠水している事が分かります。この図では、暗い領域とは暗い青、暗い紫、黒を指します。
図4: Pi-SAR-Lによる9月26日観測のプラーチーンブリー県洪水画像
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図4は、9月26日観測のうちPrachin Buri県周辺について示したものです。大規模な冠水が起こっている事が分かります。
図5: Pi-SAR-Lによるチャイナート県洪水画像比較
(左: 2011年9月24日観測、右: 2011年9月27日観測)
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図5は、Chai Nat(チャイナート)県Wat Sing周辺の拡大画像です。左側が9月24日、右側が9月27日の画像になります。
航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L)によるタイ豪雨災害の観測結果について(2)(
本年、JAXAは、ALOS、ALOS-2に搭載されるLバンド合成開口レーダをはじめとした衛星・航空機等の地球観測データを利用して、タイ国のGISTDA(Geo-Informatics and Spacd Technology Development Agency)と、洪水、沿岸浸食、米収量の3分野をテーマとした共同研究を実施しています。今回の豪雨災害の観測・解析は、この共同研究の一環として行われました。
JAXAはこの共同研究を継続するとともに、研究成果を陸域観測技術衛星(ALOS-2)へと反映していく予定です。
関連情報:
2011/10/17: 航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L)によるタイ豪雨災害の観測結果について(2)
2011/9/29: 航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L)によるタイ豪雨災害の観測結果について
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