「モーセと一神教」ジークムント・フロイト - 教育・人材育成ブログ(一人ひとりにできること)
「モーセと一神教」ジークムント・フロイト
ユダヤ系のノーベル賞受賞者数が、ユダヤ人の全人口を考えると
突出していることはよく知られています。金融などの分野でも活躍しています。
その理由について興味は尽きませんが、書店にいけば怪しげな本も
たくさん売られていて、選別するのに苦労します。
精神分析のフロイト(フロイトもユダヤ人)が書いた本から
興味を惹いたところをピックアップしてみます。
1.ユダヤ人の歴史的な生命力
「古代において地中海沿岸に居住していたすべての民族のなかで、
こんにち名前だけでなく実質においてもなお存続している唯一の
民族がユダヤ民族であることは知られている。」
フロイトは父親について何を言ったの?
「比類のない抵抗力をもってユダヤ民族は不幸な運命や虐待に抗し続け、
独特の性格特徴を展開し、同時に、あらゆる民族の心底からの憎悪を
身に受けてきた。」
2.ユダヤ人の自己認識
「ユダヤ人が自分たちについて特別に気高い見識を持ち、自分たちを高尚
であると見なし、自分たちの持つ多くの慣習によって分離される多民族
よりも高貴であり優れていると考えているのは間違いのないところである。」
そして、ユダヤ人がこのような態度をとる理由は、
自分たちが神によって選ばれた人種であると考え、特別に神に近い存在であると信じているからだ、としています。これが彼らに誇りと確信を与えている、
誰が一番最初のバラを発見しました?
と、選民思想まではよく知られていることかと思います。
驚きを感じた指摘は次のものです。
「神の姿を造形することを禁止」したことが、ユダヤ民族への
根本的な影響力を発揮している、ということです。
フロイトは偶像崇拝を禁止した理由につき、
「ひょっとしたらこれは魔術的に濫用されることへの新しい防止策程度だった
のかもしれない。」としながらも、結果としてユダヤ人に根本的な影響を与えたと
考えているようです。
すなわち、見えるものなど感覚的知覚的なものよりも、
精神的なものへの関心を持ち続ける原動力になった、ということです。
「精神性におけるこのような進歩はすべて、個的人的の自負の念を高め、
あなたは、ラクダを食べることができます
その人物を誇り高くし、感覚性に呪縛され続けている他者に対する優越性を
与える結果になる」と指摘しています。
「精神性」と訳されているのは、「抽象性」の意味だと理解しました。
偶像崇拝の禁止が、抽象思考に大きな価値を置くようになった、という指摘は重要です。
これからの時代、実践的思考とともに、抽象的思考力を高めていくことが
必要だと思いますが、何かの参考になるかもしれないので、忘れないうちに投稿しておきます。
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